2022年1月、日立製作所がジョブ型雇用を導入するということで話題になりました
ジョブ型人財マネジメント:採用・インターンシップ:日立 (hitachi.co.jp)
大手メーカーに勤務していた実体験から、このようなジョブ型雇用を導入する意味と、今後の展望を記事にしました
この記事では以下を紹介します
ジョブ型雇用とは何か
大手メーカーの雇用の現状
大手メーカーがジョブ型を導入する意味
今後の展望
ジョブ型雇用とは何か
ジョブ型雇用とは「既に仕事の内容が決まっており、そこに人を当てはめる雇用形態」のことです
例えば、飲食店で言えば、会計の仕事にAさんが割り当てられ、キッチンの仕事にBさんが…
というような感じです
欧米諸国ではこの雇用形式が一般的です
一方で日本では、長くメンバーシップ型雇用と言われる「人に色々な仕事を当てはめる雇用形態」でした
飲食店で言えば、Aさんに今は会計が忙しいから会計の仕事を、キッチンの仕事も忙しいからそれも…
というような感じで「何でも屋さん」という感じですね
ここでジョブ型雇用のメリットとデメリットを見てみましょう
ジョブ型雇用のメリット
自分が会社の経営者だと思ってメリットを考えてみます
人材の流動性が高いので、新しい考え方が会社に入りやすい
時代が急激に変化したときに、新しい必要な仕事が出来ても人材確保がしやすい
それぞれ説明します
人材の流動性が高く新しい風が入りやすい
「仕事の内容が決まっており、そこに人を当てはめる雇用形態」なので、同じ仕事内容が他の会社にもあるわけです
そうすると、A社とB社の仕事内容は一緒だけど、B社の方が給料が高いとなれば当然そちらに移りたくなる人が出るわけです
結果として、人材の流動性が高くなります
優秀な人材に満足できる待遇を用意できれば、優秀な人材が会社に入ってくれるようになります
優秀な人材が入ってくれば、会社に新しい風や雰囲気が入りやすくなり、事業の促進が期待できます
時代の変化への対応がしやすい
時代が急激に変化して、今までやったことがない仕事をしなければいけない時も、その仕事が出来る人材を募集し、採用すれば良いだけです
最近では、時代が変化してAIなどが取り上げられていますが、AI人材を採用していけばそのような時代の変化にも対応しやすくなります
昨今、時代の変化が激しいので変化に対応できるのは企業にとってプラスです
ジョブ型雇用のデメリット
一方でデメリットは何かを考えた時、以下があげられます
優秀な人材獲得が困難
柔軟な人材の配置転換が困難
メリットとデメリットは表裏一体なのが分かります
優秀な人材獲得が困難
優秀な人材は高待遇を用意しなければ他社に採られてしまいます
競合の会社と不毛な争いをすることにつながりかねません
しかも折角採用出来たとしても数年で他の会社に移られてしまう可能性は高いです
柔軟な人材の配置転換が困難
仕事に対して人を採用しているので、いきなりその仕事を変えることは反発を生みます
大手メーカーだと、人材の配置転換で急に〇〇部に異動というのは良くあることですが、それが出来なくなります
〇〇の仕事が今忙しいから、この人を助っ人に、ということをやろうとしても簡単に出来ないのは企業にとってはマイナスですね
大手メーカーの雇用の現状
大手メーカーに過去・現在と在籍している経験から述べたいと思います
もちろん会社によりますので、参考程度に見てもらえれば幸いです
皆さんご存知のように、新卒採用で若い人達を多く採用して、会社内で長年育て上げて、その中でも優秀な人(上司に気に入られる人)は部長、役員と出世していく
基本的に雇用の現状は今も上記のようだと思います
新卒で入った大手メーカーは年功序列で、主任までなら年齢で自動的に上がりました
主任レベルで残業すれば年収1000万にはなるので社員からしたら嬉しいですよね
したがって辞める人はあまりいない一方、上のポストも行ける人が限られるので、万年主任や部下なし課長が生み出されます
課長だけのグループというのも存在しました
おそらくこのような雇用形態が長く続いていたと思います
昨今、年功序列や一括の新卒採用を無くしていこうという流れが出てきました
背景として良く言われるグローバル化がありますが、簡単に言えば「優秀な人材を確保する為」です
優秀な人であれば、「なぜ能力が違うのに年齢が一緒なだけで給料が一緒なのか」を不満に思いますし、「ポジションが上になるのに時間がかかる」と痺れを切らして辞めてしまいます
また、海外からの留学生は日本人よりハッキリ言って優秀です
英語が出来ない日本人が多い中、日本語も出来て、母国語も出来て、英語が出来る人はゴロゴロいます
しかも日本に来ているだけあり、エネルギーが凄いです
今後日本の人口減少が進む中で、彼らが働き手として増えることは不思議ではありません
その中でも優秀な人材を確保しようとするのであれば、今までの雇用制度を見直さないといけません
まさに2022年現在、大手メーカーの雇用の転換期に来ていると思います
数年単位で変わっていくとは思いませんし、年功序列で得をしている人も多いので簡単に変わらないと思いますが、大手メーカーが雇用制度を変えようとしているのが2022年の現状です
大手メーカーがジョブ型を導入する意味
既に述べてしまいましたが、一言で言えば「優秀な人材を確保する為」です
大手メーカーであれば、日本国内で勝負していては先細りすることが確定しているので、世界で戦おうとしています
その時重要なのは、やはり人材です
しかも世界展開するということは、海外の国の人々を雇うことになります
海外の国の優秀な人材を採用したいと思ったら、良い待遇を出さないと採用できないので、「年齢で給料がほぼ決まる」という今の制度を見直さなければ、とてもじゃないですが生き残れません
それが昨今、大手メーカーがジョブ型を導入する意味です
今後の展望
今後は大手メーカーが先頭に走り、「優秀な人材を獲得して会社として生き残る為」に、ジョブ型ではないにしろ雇用制度を変えようとするはずです
一方で既存の雇用制度(メンバーシップ型雇用、年功序列)で利益を受けている人達(部下なし課長、万年主任)などが抵抗するでしょう
したがって、今後5~10年間は雇用制度は変わっていくにしろ、社内の意識は変わらないのではないかと予想します
雇用制度は外面であり、内面である社内の人達の意識や意思決定が変わらなければ実質変わらないのと同じです
社内の意識が変わってくるのは10年以上過ぎた後でしょう
また、首都圏の方が変わっていくのが早く、地方にそれらが波及していく形になるはずです
大手メーカーで地方勤務にうんざりしている方は、10年以上何も変わらないかもしれません
現状を変えたい時は「キャリア設計」をおすすめします
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